抑鬱亭日乘

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2002年4月14日(日)

容態好轉

晴れて暑きこと夏のごとし。春風嫋々たり。早朝レモン元氣に囀るを聞き安堵す。暗かりし表情明るくなり或程度の距離を飛ぶまで恢復すれど長距離を舞ふこと未だ能はず。午下實家に赴き筆記本電腦を調整す。晡時歸宅、筆硯に親しむ。

2002年4月13日(土)

看病

毎朝囀るレモン今朝は啼かず。不審に思ひ籠を見れば止まり木に蹲り瞼を閉ぢること頻なり、止まり木から飛ぼうとして籠の下に落ち、體に異變あるを知る。近鄰の動物病院で診察を乞ふ。過度の產卵による榮養失調とのこと。抗生物質と點滴の注射を打つてもらふ。レモン注射針を恐れず悲鳴も上げず醫師に感心なりと襃められる。ビタミン劑と榮養劑を處方さる。歸宅後普段の餌に蛋白質が豐富なカナリヤシードを加へて樣子を見る。飛ぶことがまゝならぬレモンが不憫でならぬ。子をもつ親の心いかばかりかと思ふ。

2002年4月12日(金)

オランジェ

空よく晴れ渡りしが疾風冷にして花盛りの頃とも思はれず、病み上がりのわが身ばかりかくやと思ひしに、壯健な人も今日は風さむしといへり。敎務課にゼミ敎室の變更屆を提出す。終日何事をもなさず。世の諺に死ぬ苦しみと云ふことあれど藥飮み飮み命をつなぎて徒に日を送るも亦たやすき業ならず。神戶アンテノールのオランジェを手土產に實家に赴き咖啡を喫す。

2002年4月11日(木)

始業

六時起牀。隂。午後疎雨。始業。ゼミに十七名の學生集まる。映畫で卒論を執筆せんと欲する者過半に及ぶ。西班牙語應用は二名、少數精銳なり。燈刻實家。筆記本電腦に視窓XPを安裝。夕餉は赤飯に鰤の鹽燒き、淺葱の酢味噌和へ、筍の煮物、はうれん草のおひたし。二更歸宅。

2002年4月9日(火)

幼稚園

六時起牀。朝來の疎雨午後霽れる。昨夜は三更まで眠れず睡眠藥を飮みぬ。午前大學で新入生向け學科ガイダンスを催す。講義の聽講方法や學生便覽の讀み方などを擔當委員の各敎員事細かに說明すること二時間に及ぶ。敎員の善意に據るものなれどまるで幼稚園か小學校の如し。午後輕い眩暈を覺え一旦歸宅し午睡。燈刻ふたゝび出勤し、夜間の學生のガイダンスに出席し自己紹介す。初更歸宅。

2002年4月8日(月)

入學式と歡迎會

六時起牀。物憂く二度寢。レモン枕元に飛び來たりて顏中を愛撫し蒲團に潛り込み早起きを促す。暑きこと初夏の如し。午前大學。入學式。學科新任のO氏と會ふ。英國での硏究より歸國せし英米學科O氏と再會。午下一旦歸宅。レモン產卵。二十九個目なり。燈刻グリーンロード沿ひの中華料理屋でO氏の歡迎會。數少なき喫煙者とわかり紫煙を燻らせ大いに歡談す。初更歸宅。

2002年4月4日(木)

春の嵐

終日風吹き狂ひて季節外れの大風の如し。午前三郷やまとの湯に浴す。内風呂は森林の香なり。下痢止みしが氣分爽快ならず依然病褥に在り。

2002年4月3日(水)

下痢

黎明暴に腹痛を催し下痢再三におよぶ。午下大學。同僚T氏と委員會の引繼ぎ。エストゥデォ・コジマより『邂逅』ポスター屆く。午後褥中に在りてシティ・ボーイズ公演DVDを看る。レモンふたゝび產卵す。二十七個目なり。

2002年4月2日(火)

初夏

六時氣象。春風駘蕩落花雪の如し。初夏の陽氣なれば往來半袖姿多し。午前實家に赴き母上に電腦講座。端書原稾に畫像を插入する方法を指南。父上昨夜京都に發ち留守なり。午下歸宅。演出家S氏と電話で將來計劃に就いて話す。散髮後、主治醫の診察を乞ふ。萬事順調。睡眠藥處方されず。

2002年4月1日(月)

產卵

レモン產卵す。二十六個目なり。