* theatrum mundi | 舞台通信 *

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2010/02/20

コロンビア映画『ひっくり返したカニ』が国際映画批評家連盟賞 ベルリン映画祭  'El vuelco del cangrejo' ganó en Berlín



27歳のコロンビア人監督、オスカル・ルイス・ナビア Óscar Ruiz Navia の『カニの転倒』 El vuelco del cangrejo が第60回ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞(フォーラム部門)を受賞しました。日本のマスコミでは英語タイトルをカタカナ表記した『クラブ・トラップ』を邦題とみなしているようです。

青年ダニエルが太平洋に面する小さな町ラ・バーラに数週間滞在し、地元の農民の騒動に巻き込まれ、子供がいる未婚の女ルシアと恋に落ち、太鼓やマリンバ、たき火で祝う儀式に参加し、ルシアのおかげで人生を再スタートさせるというストーリー。予告編をみるとカニをひっくり返しているので、タイトル(El vuelco del cangrejo)は文字どおり「カニをひっくり返すこと」「裏返しにすること」です。

コロンビアの監督が同賞を獲ったのは、1982年のマルタ・ロドリゲス監督のドキュメンタリー『大地と記憶と未来についての我々の声』 Nuestra voz de tierra, memoria y futuro 以来二度目。

ミゲル・エルナンデスの汚名をそそぐ スペイン政府  El Gobierno reparará la memoria de Miguel Hernández



今年はミゲル・エルナンデス生誕百周年。スペイン内戦終結直後に死刑宣告を受け獄死したミゲルの遺族が汚名返上を政府に嘆願、マリア・テレサ・フェルナンデス・デ・ラ・ベガ副首相が受け入れ、「直ちに」汚名返上の措置をとると言明しました。

遺族はフランコ政権による死刑宣告が不当であることを「公の場で認め償う」よう、昨年10月末にアリカンテ市に要望書を提出。デ・ラ・ベガ副首相は了承し、法務大臣フランシスコ・カマーニョの署名入りの名誉回復証明書をミゲルの遺児の妻ルシア・イスキエルドに「直接手渡したい」とのこと。

ミゲル・エルナンデスは1940年1月18日、民衆擁護の詩を書いた「裏切り者の密告者」として死刑宣告を受け、後にフランコが禁固30年に減刑。しかし1942年アリカンテの獄舎で病死しました。

生誕百周年行事は予定通り行われるそうです。目玉は10月にマドリードの国立図書館で開催される展覧会『克服された影』 La sombra vencida 、ミゲル・エルナンデス全集刊行、10月末の第三回ミゲル・エルナンデス国際シンポジウム(開催地はアリカンテとエルチェと生地オリウエラ)。

2010/02/15

第24回ゴヤ賞 受賞者リスト  Lista de ganadores de los Premios Goya




  • 作品賞  独房211 Celda 211

  • イスパノアメリカ映画賞  瞳の奥の秘密 El secreto de sus ojos

  • 監督賞  ダニエル・モンソン (独房211)

  • 新人監督賞  マル・コル 家族との三日間 Tres días con la familia

  • オリジナル脚本賞  マテオ・ヒル、アレハンドロ・アメナーバル (アゴラ)

  • 脚色賞  ダニエル・モンソン、ホルヘ・ゲリカエチェバリーア (独房211)

  • オリジナル作曲賞  アルベルト・イグレシアス (抱擁のかけら)

  • オリジナル歌曲賞  Yo, también

  • 主演男優賞  ルイス・トサール (独房211)

  • 主演女優賞  ローラ・ドゥエニャス (Yo, también)

  • 助演男優賞  ラウル・アレバロ (Gordos)

  • 助演女優賞  マルタ・エトゥーラ (独房211)

  • 新人男優賞  アルベルト・アンマン (独房211)

  • 新人女優賞  ソレダー・ビリャミル (瞳の奥の秘密)

  • 製作監督賞  ホセ・ルイス・エスコバール (アゴラ)

  • 撮影賞  シャビ・ヒメネス (アゴラ)

  • 編集賞  マパ・パストール (独房211)

  • 美術賞  ガイ・ヘンドリックス・ディアス (アゴラ)

  • 衣装デザイン賞  ガブリエッラ・ペスクッチ

  • メイクアップ&ヘアスタイル賞  ジャン・スーウェル、スザンヌ・ストークス=マントン (独房211)

  • 音響賞  セルヒオ・ブルマン、カルロス・ファルオロ、ハイメ・フェルナンデス (独房211)

  • 特殊効果賞  クリス・レイノルズ、フェリクス・ベルヘス (アゴラ)

  • 長編アニメーション賞  プラネット51

  • 長編ドキュメンタリー賞  ガルボ、世界を救った男 Garbo, el hombre que salvó al mundo

  • ヨーロッパ映画賞  スラムドッグ・ミリオネア

  • 短篇映画賞  ディメ・ケ・ヨ Dime que yo

  • 短篇アニメーション賞  婦人と死 La dama y la muerte

  • 短篇ドキュメンタリー賞  ルアンダの花 Flores de Ruanda

  • 名誉ゴヤ賞  アントニオ・メルセーロ

2010/02/11

『ウルタイン』が主要部門ノミネート、マックス賞  'Urtain' arrasa en las candidaturas de los Max



下の記事の補足。
今度はビスカヤのコレオ紙ですが、今年で13回目の舞台芸術マックス賞、今回は通例と異なりセレモニーの前に受賞者を発表するそうです。時期は五月、場所は未定ってところがいかにもスペインらしい。

ノミネート作品一覧はオフィシャルサイトでどうぞ。

『ウルタイン』が12部門でノミネート、マックス賞  'Urtain' arrasa en las candidaturas de los Max



舞台芸術マックス賞、ノミネート作品が発表されました。

1992年に自殺したボクサー、“ウルタイン”ことホセ・マヌエル・イバールの生涯を舞台化した劇団アニマラリオの『ウルタイン』(アンドレス・リマ演出)が演出賞、最優秀作品賞、劇作家賞など12部門でトップ。主人公を演じたロベルト・アラモは主演男優賞候補、しかも劇団の同僚アルベルト・サン・フアンも『タイタス・アンドロニカス』で主演男優賞候補。

次いでアーサー・ミラー作、エドゥアルド・メンドーサ台本、マリオ・ガス演出の『セールスマンの死』が7部門。リュイス・パスクアル演出『ベルナルダ・アルバの家』が最優秀作品賞と、ポンシア役のロサ・マリア・サラダが主演女優賞候補。主演女優賞には『これからの人生』 La vida por delante のコンチャ・ベラスコと、『ハムレット』をヌードで演じて話題になったブランカ・ポルティーリョもノミネート。

最優秀演出家賞にはリュイス・パスクアル、マリオ・ガス、アンドレス・リマが三つ巴。

そんなわけで今年もアニマラリオが主要部門をかっさらうでしょう。

2010/02/04

エル・ブルーホ「フラメンコは芝居作りに大いに役立った」  Rafael Álvarez 'El Brujo': "El flamenco me ha ayudado mucho en el teatro"



「芝居をする際、フラメンコにおける声の使い方から大いに学んだ」──魔術師(エル・ブルーホ)こと俳優ラファエル・アルバレスの意外な告白。マドリードのアルカサル劇場で始まるフェルナンド・キニョネス作『証人』 El Testigo に合わせたインタビュー。3月14日まで。

芝居では言葉で豊かな表現をしなくてはならず、フラメンコの歌手は声だけで観客の心を動かす。「芝居ではなかなかみられない」。家では母親がサエタを歌い、父親は「田舎町によくあるフラメンコサークルの常連だった」とのこと。

『証人』の原作は、とあるカフェで〈証人〉フアンがインタビュアーにミゲル・パンタロンの波乱に満ちた人生を語るという構造ですが、ラファエル・アルバレスはこの設定に手を加え、ファリャ劇場(カディス)で催されるパンタロン追悼集会にフアンが招かれ舞台で話をさせられるという構造にしました。

アルバレスによるとミゲル・パンタロンは「フラメンコ界のドン・キホーテ」。ドン・キホーテが怪物を、サンチョ・パンサが俚諺を表象していたとすれば、パンタロンは怪物でありロマンセ。「フラメンコにおいてソレアは怪物、カンテは不可能なもの、世界との対峙を表象する」。舞台で何度もドン・キホーテを演じてきたエル・ブルーホらしい解釈です。

2010/01/21

『悲しみのミルク』『瞳の奥の秘密』、アカデミー賞外国語映画賞最終候補に  'La teta asustada' y 'El secreto de sus ojos', finalistas para el Oscar



クラウディア・ジョサ監督の『悲しみのミルク』 La teta asustada とフアン・ホセ・カンパネージャ監督の『瞳の奥の秘密』 Los secreto de sus ojos がそれぞれペルーとアルゼンチン代表としてアカデミー賞外国語映画賞の最終リストに残りました。スペイン代表のフェルナンド・トゥルエバ監督『ビクトリアの踊り』 El baile de la Victoria は落選。

残ったのは9作品。2月2日に5作品に絞られます。

2010/01/16

『抱擁のかけら』、放送映画批評家協会賞の外国語映画賞  La crítica de EE.UU. reconoce a 'Los abrazos rotos' de Almodóvar



ペドロ・アルモドバルの新作『抱擁のかけら』 Los abrazos rotos が放送映画批評家協会賞の最優秀外国語映画賞を受賞。ほかのノミネート作品は『ココ・アヴァン・シャネル』(仏)、『ホワイト・リボン』(独)、『闇の列車、光の旅』 Sin nombre (メキシコ=米)、『レッド・クリフ』(中)。アルモドバルが同賞を獲得するのは初めて。

2010/01/12

カスティーリャ・イ・レオン国際芸術祭監督にカリスト・ビエイト  FÁCYLCalixto Bieito asume la dirección de FÁCYL



2005年に誕生し、現在のスペインで最も先鋭的なプログラムを組むカスティーリャ・イ・レオン国際芸術祭のゲスト・ディレクターにカリスト・ビエイトが決定。二年契約。

ビエイトはブルゴスのミラダ・デ・エブロ生まれ。バルセロナ大学でスペイン文学と芸術史を、タラゴナ演劇学校で演技を、バルセロナ県議会演劇学院で演出を勉強。グロトフスキー、ビーター・ブルック、ジョルジョ・ストレーレル、イングマール・ベルイマン、アンジェイ・ワイダらに師事、ジュディ・デンチ、ブライアン・コックス、ブルース・マイヤースらと研鑽を積みました。

世界に名を知らしめたのは1997年エジンバラ演劇祭で上演した『パローマの夏祭』 La verbena de lal Paloma 。カルデロン・デ・ラ・バルカの『人生は夢』も代表作。1999年からバルセロナのロメア劇場芸術監督。2007年ドイツのオペラ誌『オペルンヴェルト』で世界で最も重要なアーティストの一人として紹介。2009年舞台演出家として初めてヨーロッパ文化賞を受賞。

それにしてもエル・ムンド紙は誤記が多いよ。グロトフスキーは Grotowsky ではなく Grotowski、ジョルジョ・ストレーレルは Giorgo ではなく Giorgio、『オペルンヴェルト』は Operwelt ではなく Opernwelt 。

2010/01/10

『独房211』と『アゴラ』、ゴヤ賞有力候補  'Celda 211' y 'Ágora', favoritas para los Premios Goya



スペイン映画界のアカデミー賞にあたる第24回ゴヤ賞、ノミネート作品が発表されました。ダニエル・モンソン監督の『独房211』 Celda 211 が16部門でトップ、次いでアレハンドロ・アメナーバル監督の『アゴラ』 Ágora が13部門。以下、フェルナンド・トゥルエバ監督『ビクトリアの踊り』 El baile de la Victoria (9部門)、フアン・ホセ・カンパネーリャ監督の『彼女の眼の秘密』 El secreto de sus ojos (9部門)、ダニエル・サンチェス・アレバロ監督『デブ』 Gordos (8部門)、シグフリ・モンレオン監督『ソドムの執政官』 El cónsul de Sodoma (6部門)、ペドロ・アルモドバル監督『抱擁のかけら』 Los abrazos rotos (5部門)、アルバロ・パストール&アントニオ・ナアーロ監督『わたしも』 Yo, también (4部門)。

最優秀作品賞を争うのは『独房211』『アゴラ』『ビクトリアの踊り』『彼女の眼の秘密』の上位四作品。『彼女の眼の秘密』は最優秀中南米映画賞にもアルゼンチン代表としてノミネート。

最優秀男優賞候補は『彼女の眼の秘密』のリカルド・ダリン、『独房211』のルイス・トサール、『デブ』のアントニオ・デ・ラ・トーレ、そして『ソドムの執政官』のジョルディ・モリャ。最優秀女優賞候補は『抱擁のかけら』のペネロペ・クルス、『わたしも』のローラ・ドゥエニャス、『テトロ』のマリベル・ベルドゥ、『アゴラ』のレイチェル・ワイズ。最優秀監督賞にはアメナーバル、カンパネーリャ、モンソン、トゥルエバがノミネート。

『ソドムの執政官』は最初6部門にノミネートされたものの、最優秀美術賞でアントン・ラグーナが『独房211』でもノミネートされたので『ソドム』は外され5部門に。イサベル・コイシェ監督『東京サウンドマップ』 Mapa de los sonidos de Tokio は最優秀音響賞のみ。

授章式は2月14日。

2010/01/03

スペイン映画、興行収入過去最高  Los cines españoles batieron récord de recaudación en 2009



2009年のスペイン映画界は興行収入が6億7500万ユーロ(約899億円)で2004年の記録を抜き過去最高。観客動員数は1億1000万人。上半期はやや伸び悩んだものの、下半期にジェームズ・キャメロンの『アバター』、ダニエル・モンソンの『独房211』 Celda 211 、アレハンドロ・アメナーバル『アゴラ』 Ágora と話題作が立て続けにヒットしたおかげ。興収は前年比で35%増。国内市場におけるスペイン映画の割合は約15%。

写真は『アゴラ』のレイチェル・ワイズ。

2009/12/23

オヨスのフラメンコ博物館、建物売却し存続を模索  El Museo Flamenco de Cristina Hoyos pretende seguir aunque venda su sede



12月10日EFE通信配信による日刊セビーリャ紙の記事。

下で触れたクリスティーナ・オヨスですが、2005年にセビーリャにフラメンコ博物館を設立したのはご存じの通り。しかし収入が伸び悩み、この秋建物の売却を決定。不動産サイト idealista.com で売りに出しました。売却価格は599万7千ユーロ(約7億8500万円)。1平米あたり3500ユーロ(約45万8千円)。購入価格は78万1000ユーロ(約1億200万円)で改修費用が250万ユーロ、プラス展示物目録作成費用も加わり、投資額は合計540万ユーロ(約7億700万円)とのこと。

博物館の責任者であるクルト・グロッツ氏とティナ・パナデーロ氏によると、投資額の82.36%は民間資本で、公的補助はヨーロッパ基金から53万4000ユーロ(約7千万円)、アンダルシア州政府文化省から32万7000ユーロ(約4280万円)、セビーリャ市から12万ユーロ(約1750万円)。

厄介なのはヨーロッパ基金の助成金。契約では最低5年間開館するのが条件。買い手が博物館以外の用途に使う場合、これまでの助成金を返済しなくてはなりません。売却後も開館を続ければ問題なし。

2005年以降の赤字額は2005年が56,000ユーロ、06年が128,000ユーロ、07年が152,000ユーロ、去年は54,000ユーロ。入館者数は三年半で58000人と悪くはないものの(九割以上は外国人)経営状況は厳しい。

博物館として存続させるには建物を売却する以外ないと判断。うまく買い手がつくといいのですが。

クリスティーナ・オヨスの「カルメン」、中国公演  ´Carmen´ de Cristina Hoyos conquista Pekín



11月28日の予告記事なので旧聞に属しますが。

ラモン・オリェール率いるバレンシア州政府劇場バレエ団 El Ballet de Teatres de la Generalitat の公演『カルメン』が中国ツアーを行います。11月28日・29日の北京公演を皮切りに、12月2日深圳(記事には Shinzen とありますが一般的には Shinzhen)──、3日Lvyinge(どこ?)、4日海口、6日成都、8日重慶(これも Chongqin とあるけどふつうは chongquing)と、六都市を回ります。ていうか、回ったはず。

クリスティーナ・オヨスが参加して話題なのですけど、振付のみならず出演もしたのでしょう。ラモン・オリェールとは2005年の愛知万博で名古屋公演を行った『南への旅 Viaje al Sur』でもコラボレーションをしました。

2009/12/21

ジョアン・マヌエル・セラーに現代音楽国家賞  Serrat, Premio Nacional de las Músicas Actuales



12月17日ラ・バングアルディア紙の記事。

今年創設されたばかりの現代音楽国家賞にシンガー・ソングライターのジョアン・マヌエル・セラーが選ばれました。賞金3万ユーロ(約390万円)。現代音楽の分野で功績顕著とされる個人・団体を毎年顕彰する賞で管轄は文化賞。

セラーは1943年バルセロナ生まれ。シンガー・ソングライターであり作曲家であり詩人。標準スペイン語(カスティーリャ語)とカタルーニャ語の両言語で活動。代表曲に「伝統歌集」 Cançons tradicionals 、「ラ・パローマ」 La paloma 、「友へ」 Per al meu amic 、「ポートレート」 Retratos 、「愛の歌」 Canciones de amor 、「僕の愛する女」 La mujer que yo quiero 、「一言居士」 Cada loco con su tema 、「敬具」 Sinceramente teu 、「愛の詩」 Poema de amor 、「理想郷」 Utopía 、「完璧な人間はいない」 Nadie es perfecto 、「こちらこそ」 El gusto es nuestro (アナ・ベレン、ミゲル・リーオス、ビクトル・マヌエル共演)、「一石二鳥」 Dos pájaros en un tiro (ホアキン・サビーナと共演)、「地中海」 Mediterráneo 、「ペネロペ」 Penélope 、「幸いなるもの」 Bienaventurados 、「愛の言葉」 Paraules d'amr など。枚挙に遑がありません。

カタルーニャの〈ノバ・カンソー〉(新しい歌)運動の旗手で、1968年にユーロビジョン・ソング・コンテストのスペイン代表として「ラ、ラ、ラ」 La, la, la, で参加(作曲はドゥオ・ディナミコのマヌエル・デ・ラ・カルバとラモン・アルクーサ)。カタルーニャで歌いたかったもののフランコ時代ゆえカタルーニャ語は禁止。後にマシエルがこの曲を標準スペイン語で歌い優勝。

45年に及ぶキャリアで30枚以上のレコードをリリース。最新作は詩人ミゲル・エルナンデスに捧げた『光と影の息子』 Hijo de la luz y de la sombra

2009/12/19

「遺骨のかけらもない」 ロルカ遺骨発掘調査終了  "La posibilidad de que ahí hubiera algo era ninguna"



10月29日からアルファカルのフェデリコ・ガルシーア・ロルカ公園(旧フエンテ・バケーロス)で行われてきた発掘調査の結果が発表されました。

276.75平米、75.75立方メートルを調査したものの「人を埋葬した形跡は全くない」とのこと。地表から40cmのところに石が一つ見つかりましたが、人骨や歯のかけらはなし。ボタン、ファスナーなど衣服の断片もなし。人を埋葬するには最低一メートル半は掘らねばならないのに石は僅か40cm。「この場所で何があったという可能性は絶無」とレポートは結論づけたそうです。

ロルカの遺族は「メディアの見世物」になるのを恐れて最初から発掘調査に反対していたからいいものの、他の五人の遺族の心中は察するに余りあります。

ロルカの遺骨が眠っている場所はどこなのか。死後73年を経て、振り出しに戻りました。

2009/12/16

ロルカ殺害に女優エンマ・ペネーリャの父が関与か  Lorca, muerte (sin resolver) de un poeta



近々発売予定のガブリエル・ポソの新著『ロルカ、最後の散歩』 Lorca, el último paseo (Almed 社)でロルカ殺害に関する新事実が明らかにされたそうです。

暗殺に関与したとされるラモン・ルイス・アロンソは事件に関して沈黙を守り、フランコ将軍の死後アメリカに逃亡。その直前に逃亡の理由を長女エンマ・ペネーリャに語ったというのです。エンマは2007年8月に他界。本にはエンマ・ペネーリャの証言が載っているとのこと。

これまでの定説によると、ロルカがロサーレス家に匿われているのを密告したのは妹コンチャで、父親の身の安全を守るためだったとされてきました。しかしエンマの証言によると、ロサーレス家の長男がファランヘ党員の行進のさなかに「ロルカは我が家にいる」とエンマの父ルイス・アロンソに告白。「でも出て行ってほしい」。この会話のあと、ルイス・アロンソはスペイン独立右翼連合(CEDA)のトップに報告、「フェルナンド・デ・ロス・リーオスお気に入りの甘えん坊をひとつ懲らしめてやるか」という話になった。

ロサーレス家からロルカを連れ出したのはルイス・アロンソではなくロサーレス家の長男で、ロルカは手錠もかけられなかった。CEDAとフアランヘ党は権力争いをしており、ロルカはその餌食にされたとエンマは語ったそうです。

ルイス・アロンソはロルカ暗殺の手柄を立てたことで喝采を浴びた。「父は告発書に署名し、逃げも隠れもしなかった。告発書にはロルカはフェルナンド・デ・ロス・リーオスの秘書で、〈アカ〉だと明記されていたんです」。

スペイン内戦終結後、ルイス・アロンソは一本の電話を受けます。スペイン国外でロルカ暗殺の真相をめぐる動きが出始め、フランコ将軍が苛立った。電話の主はフランコ将軍。事実調査のためルイス・アロンソに話を聞こうとした。以後、ルイス・アロンソは事件に関して一切口にしなかった。証拠品は全て破壊、自分の命も危くなった。

記事の写真の前列で赤ん坊を抱えた男は、「ロルカの遺骸をこの手で埋めた」と歴史学者イアン・ギブソンに証言し、場所を初めて教えたマノリーリョ。しかしマノリーリョは他の人たちには別の場所を教えたそうで、「ギブソンに教えた場所は最初にぱっと思いついた場所を言っただけ」。さらにロルカの亡骸は「共和政府のプロパガンダに利用されるのを恐れた当局によって隠された」というアグスティン・ペニョンの証言も。

謎は深まるばかり。

ロルカの遺骨発掘調査、成果ないまま今週終了  "No llenaremos Granada de agujeros"



12月12日の記事。
グラナダ近郊、アルファカル市のフエンテ・バケーロスで発掘調査が進行中。今週18日(金)が最終日。この日までにロルカの遺骨が発見されない場合、ロルカについては再調査は行わないことが、アンダルシア州政府と歴史記憶委員により発表されました。

調査を開始して既に一ヶ月半。八ヶ所のうち五ヶ所を発掘して見つかったのはただの大きな石ころだけ。墓穴らしきものは見当たらず。ロルカと一緒に殺された小学校教師ディオスコロ・ガリンド、銛打ち士フランシスコ・ガラディーとホアキン・アルコーリャス、収税官フェルミン・ロルダン、家具修理士ミゲル・コボの六人の亡骸も今のところ見つかっていないばかりか、その形跡すらないそうです。今回何の成果もなければ来年アンダルシアの外の場所で調査が行われる予定。

ペネロペ・クルスとアルモドバル、ゴールデン・グローブ賞ノミネート  Penélope Cruz y 'Los abrazos rotos', candidatos a los Globos de Oro



第67回ゴールデングローブ賞。ミュージカル『NINE』のペネロペ・クルスが助演女優賞候補。対抗馬は『プレシャス』のモニーク、『ア・シングル・マン』のジュリアン・ムーア、『マイレージ、マイライフ』のアナ・ケンドリックとヴェラ・ファーミガ。

『NINE』の予告編を観た限りでは「うーん…」という感じ。今年オスカーを獲ったばかりだし。でもいま世界でいちばんキラキラ輝いている女優であるのは間違いありません。数年前まではニコール・キッドマンでした。

そしてペネロペ主演のアルモドバルの新作『抱擁のかけら』 Los abrazos rotos は外国語作品賞にノミネート。ライバルはジュゼッペ・トルナトーレの『バアリア』 Baarìa 、ミヒャエル・ハネケの『ザ・ホワイト・リボン』 Das weisse band ──カンヌ映画祭とヨーロッパ映画賞を制覇──、ジャック・オディヤールの『預言者』 Un prophète 、チリ人監督セバスティアン・シルバの『子守』 La nana 。アルモドバルが同賞にノミネートされるのは六回目で、『トーク・トゥ・ハー』『オール・アバウト・マイ・マザー』で受賞済み。

2009/12/15

作曲家アルベルト・イグレシアス、ヨーロッパ映画賞  El compositor Alberto Iglesias, premiado por la Academia de Cine Europeo



作曲家のアルベルト・イグレシアスがアルモドバルの新作『抱擁のかけら』 Los abrazos rotos でヨーロッパ映画賞を受賞。2006年の『ボルベール《帰郷》』に続いて二度目です。

『抱擁のかけら』は監督賞(ペドロ・アルモドバル)と主演女優賞(ペネロペ・クルス)もノミネートされましたがどちらも落選。

2009/12/14

ダリの伝記映画、「製作頓挫は財団のせい」とバンデラス  Banderas dice que la Fundación Gala-Dalí paraliza la película sobre el artista



今年5月の記事なので「何で今ごろ?」と思うかも知れませんが、単にブログに書き忘れていただけでございます。

サイモン・ウェスト監督、アントニオ・バンデラス主演によるサルバドール・ダリの伝記映画『ダリ』、製作がちっとも進んでません。理由は、製作者とガラ=サルバドール・ダリ財団が脚本をめぐって揉めているため。

バンデラスの説明によると、特にダリの晩年の描き方が問題だそうで、ダリの才能が衰えてゆき、それをいいことに周囲の人たちが彼の名前を利用するらしい。「財団側はあまり好ましく思っていなくて、監督のサイモン・ウェストはというと強情っ張りで石頭のイギリス人、頑として譲らないんだよ」とバンデラス。サイモン・ウェストって『コン・エアー』『ブラックホーク・ダウン』『トゥームレイダー』の監督だからなあ。期待していいのかどうか…。ダリ役にバンデラスを指名したのはウェストだそうです。

財団との交渉は続いているものの、これだけ遅れてしまった以上、来年撮影を開始するのは日程的にほぼ絶望的(繰り返しますがこの記事は5月)。バンデラスは7月にウディ・アレンの "You Will Meet a Tall Dark Stranger"に出演したし(12月現在ポストプロダクション中)、その次にトニー・クランツ監督の "The Big Bang" を撮影(これもポスプロ中)、その後はメキシコのルイス・マンドーキ監督の『ナイチンゲールの娘』 La hija del suiseñor の撮影があり(記事には Mandoqui とありますが正しくは Mandoki)、さらにナスル朝グラナダ王国最後の王ボアブディル(ムハンマド11世)の伝記映画もプロジェクトが進行中。