第52回サン・セバスティアン映画祭。最高賞「金の貝殻」を受賞したのはクルド系イラン人監督バーマン・ゴダビの『亀だって飛ぶ』。
舞台はイランとトルコの国境クルディスタン。演じるのは映画というものを見たことがない子どもたち。演技ではなく彼らが生きるそのままをカメラに収めたとのこと。米軍侵攻の場面は軍の許可を得ているそうです。「衛星放送では伝わらない人々の現実の暮らしを見せる」のが狙い。
ゴダビは35歳。来週イラクに行き本作を上映、その後イラクで新作の撮影を開始。イラク戦争後初の映画になる予定。
12月11日のヨーロッパ映画祭はバルセローナで閉幕したフォーラム2004の跡地で行われます。当日はヨーロッパ・フィルム・アカデミー(EFA)がノルエーの女優・監督リブ・ウルマンとカルロス・サウラを表彰。サウラは新作『七日目』 El 7º día がノミネートされているので、授賞式に参加する可能性あり。
スペイン映画ではその他アルモドバル『バッド・エデュケーション』 La mala educación 、アメナーバル『沖へ』 Mar adentro、セスク・ガイ『街で』 En la ciudad、イシアール・ボリャイーン『私の目をあげる』 Te doy mis ojos、グラシア・ケレヘータ『エクトール』 Hectorの六本。
セルヒオ・カステリトの『動くな』 No te muevas でペネロペ・クルスが最優秀女優賞にノミネートされるかも。今のところ観客賞の候補。アルモドバル、ボリャイーン、ライラ・マルール、『カルメン』のパス・ベガ、フェレ・マルティネスも観客賞候補。
授賞式の演出はバルセローナ五輪の演出を務めたマヌエル・ウエルガで、スペイン国営放送 TVE が生中継。会場全体を縦に切れ目が入った円筒で覆い、巨大なゾーエトロープにするそうです。映画の起源と、イギリスの科学者でゾーエトロープの発明者ウィルアム・ジョージ・ホーナーを想起される装置。円筒が回転すると動画が見える仕組み。
式典のプロットはヴィム・ヴェンダースが執筆。
デスティーノ書店がダリ全集第三巻を刊行。未公開の戯曲とバレエ台本、映画シナリオ、韻文、散文を収録。編集はアグスティン・サンチェス・ビダル。
シナリオは『衛生的なヤギ』と、フリッツ・ラングが監督するはずだった Moontide、『カタルーニャの血』、『肉の仮面』。1948年にはエロール・フリン主演で『エル・シッド』を構想。『ゴヤ』ではチャールズ・ロートンのゴヤ、ベティ・デイヴィスのアルバ公爵夫人というキャストを想定。ダリが自身を演ずる『秘められた生涯』も。マルクス兄弟と『超現実主義の女』という映画を製作する予定だったというのには驚きました。主役はグルーチョなのにハーポに熱を入れていたとか。MGMの製作者サルバーグの死で計画は中止。
22日開幕の第8回リスボン・ゲイ・レスビアン映画祭でアントニア・サン・フアンが表彰されます。同時にラモン・サラサールの『石』、サン・フアン監督・主演の『V.O.』、第19回トゥリン・ゲイ・レスビアン映画祭で観客賞を受賞したカルロス・ドゥエニャス・イ・ビエルの『カラーズ』 Colours が上演されます。
サン・フアンはアルモドバル『オール・アバウト・マイ・マザー』のアグラード役。
明日ニューヨークのリンカーン・センターで開幕するラテン・ビート映画祭。中南米の映画二十篇とアルゼンチンのマルセル・ピニェイロ監督へのオマージュ。29日まで。
オープニングは『モーターサイクル・ダイアリーズ』。一般公開はニューヨークとロサンゼルスで24日から。
ピニエイロのレサロスペクティヴでは『天国の灰』を上映。セシリア・ロス主演で、1997年のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作。
その他の上映作品はアナ・ポリアク『パラパロス』(アルゼンチン)、フェルナンド・サラニャーナ『愛は痛い』(メキシコ)、フアン・カルロス・タビーオ『どんなに遠く離れても』(キューバ=スペイン)、ビクトル・マヌエル・アレーギ『アウト』 Fuera de juego (エクアドル)、メルセデス・ガルシーア・ゲバラ『タンゴ』(アルゼンチン)、セリーナ・ムルガ『アナとその他の人たち』(アルゼンチン)、フランシスコ・ロンバルディ『見えない目』(ペルー)、エベラルド・ゴンサレス『プルケの歌』(メキシコ)、フアン・アレハンドロ・ラミレス『荷役人ひとり』 Sólo un cargador、マティーアス・ビセ『土曜日』(チリ)、ロドリーゴ・レイ・ロサ『セバスティアンの夢』(グアテマラ)、ギリェルモ・カサノバ『海への旅』(ウルグアイ)。
19日に開幕するキューバのカマグエイ演劇祭で、トマス・グティエレス・アレア監督『最後の晩餐』などで知られるベテラン俳優ホセ・アントニオ・ロドリゲスが『ヴァージニア・ウルフなんて恐くない』で舞台復帰。
1935年3月19日ハバナ生まれ。私立の演劇学校を卒業後ラジオでデビュー。1980年からは劇団ブスコンを設立・主宰。俳優、戯曲家、演出家として活躍中。2003年国民演劇賞を受賞。
あさって17日、サン・セバスティアン映画祭オープニング式典でアルモドバルがウディ・アレンにドノスティア賞を授与。
アルモドバルは先週のニョーヨーク・タイムス日曜版の表紙を飾ったばかり。ニューヨーク・フィルム・フェスティバルで全作が上映される予定。
――第52回サン・セバスティアン映画祭のラインナップの出来は?
映画界全体とフェスティバルの状況から初めは見通しが不透明だった。でも最終的に素晴らしいラインナップが揃い埋め合わせができた。
――今回中南米からの参加はどんなレベルに?
メキシコ映画にとって特に良い年とは思わない。映画業界は逆風が吹くこともある。選考委員会が評価するのは個々の作品だ。技法や国籍のバランスは考慮しない。良い作品を探す、それだけだ。
――アルゼンチン映画は順風のようだが…
アルゼンチンの状況は特殊。ひどい経済危機に見舞われている国だが、危機が顯著になってから映画界は新たな作家や作品が次々と生まれている。今回はアルゼンチンとアルゼンチンの合作映画の参加が多い。
――スペイン語圏の映画、つまりスペインと中南米でこのフェスティバルが担う役柄とは?
目的ははっきりしている。公式プログラムでもサバルテギ部門でも、さらに中南米部門もあることからわかるように、我々が目指すのはこれらの地域の映画に開かれた扉になることだ。世界最大の国際映画祭の一つであり、スペイン語圏の買い手がどこよりも多く集まる。中南米映画にとってダイナミックで良いことだ。
――大西洋の両岸からアーティストが集り、共に 作品を披露する、中南米とスペインの共同市場ということ?
そうなればいいと願っている。 合作は別として中南米各国の作品は国内市場向けだ。でも国内消費向けの作品が時として型を破って国際市場に飛び出ることがある。
――近年はスペイン国内外でも中南米映画を取り 上げる映画祭がたくさんある。興行面、戦略面からどう立向かう?
できるだけ協力している。ウェルバのように歴史があるフェスティバルもあるし、ほかにも多くの映画祭がある。われわれが心してきたのは足し算。引き算ではない。例えばマイアミの人は毎年サン・セバスティアンに足を運んでくれる。われわれがスペイン語圏の映画の基準になったからだ。彼らにとってだけでなくサンダンスなどにとってもそう。サンダンスからも人が来る。
――今回はアンソニー・マンの特集と、もうひとつの特集は「間違った」監督たちですが。
マンの特集はずいぶん前からやりたかったこと。ハリウッドの大監督のひとりだが、もっと隠れた、人が知らないマンがいると思ってきた。初期のスリラーや西部劇は現代的であまり知られていない。
「間違った」監督たちは刺激的で楽しいトロスペクティヴだ。マイケル・ムーアのような態度を撮ってきた作家たち、問題に首を突っ込む人たちを歴史から回復する試みだ。
――ウディ・アレンが参加して『メリンダとメリンダ』の世界初演を果たすためには、アレンの回顧特集を組んでドノスティア賞を授けなければならなかったのか?
授賞は最初から決めていた。これまでもアレン映画の初演は彼が出席しなくても行ってきた。『セプテンバー』はサン・セバスティアンが世界初演だった。アレンには賞賛を怠っていない。――最後にスペイン映画の現状は?
ヨーロッパや世界のレベルからみて優れた一連の作家がいる。ただし供給過多、製作過剰の時期があったのも確かだ。ベネチア入りしたメキシコのアルフォンソ・キュアロンの記者会見。 今回メキシコから出品されたのはティム・パルサの短篇『少年』 Chamaco 一本だけ。カルロス・レイガーダスの長編『天国の闘い』(仮) Batalla en el paraíso は予算不足でベネチア映画祭に間に合いませんでした。未完成のフィルムを観たキュアロンは「メキシコでこうした文化的差別があり優れた映画監督への援助がないのは嘆かわしい」。
キュアロンはベネチア映画祭に新設されたオリゾンティ部門の審査委員長。
12月11日にバルセローナで授与されるヨーロッパ映画賞。アルモドバルとイシーアル・ボリャイーンがそれぞれ『バッド・エデュケーション』と『目をあげる』でジェイムソンが最優秀監督賞にノミネート。他に『ドリーマー』のベルナルド・ベルトルッチとの『ヘッド・オン』のフェティ・アキンも。
フェレ・マルティネスも『バッド・エデュケーション』で最優秀男優賞にノミネート。ライバルはコリン・ファレル、ヒュー・グラント、ダニエル・ブリュール。
最優秀女優賞には "Non ti muovere" のペネロペ・クルスと『カルメン』のパス・ベガ。ファニー・アルダンやエマニュエル・ベアール、サマンサ・モートンと競います。
10月21日から30日まで開催される第19回カディス中南米演劇祭、四十周年を迎えるエルス・ジョグラルスとコロンビアの俳優エンリケ・ブエナベントゥーラにオマージュを捧げます。
2012年は1812年のスペイン憲法がに二百周年を迎えるのにあわせて野外劇の世界的な祭典にするとのこと。
アレハンドロ・アメナーバルがゲイ雑誌 "Shangay" 9月号でカミングアウト。年長の親族に対する配慮から今までは明らさまに告白しなかったが、もう隠す必要もないし、だからといてわざわざ触れ回ることもなくなったとのこと。
1972年チリのサンティアゴ生まれ。クーデターで11日後にはスペインに移住。親戚は今もサンティアゴに多く住み、叔母のラウラ・アメナーバルはチリ料理の本で有名だそうです。ソプラノ歌手のマグダリーナ・アメナーバル、モデルのセシリア・アメナーバルも親戚。