theatrum mundi
「茹で玉子になります」
オムライスがおいしいと評判の洋食屋が近所にオープンした。散歩のついでに店の前を通ると入口に人の背丈ほどの立看板があり、モーニングサービスのメニューが大きな写真で紹介されている。トーストとスクランブルドエッグ、サラダ、飲み物。話の種に、日を改めて食べに行った。
店内はガラガラだった。客はほかに一組しかいない。何となく厭な予感がする。モーニングを注文した。十分ほどしてメニューを載せたトレイが運ばれてきた。トースト、ゆで玉子、サラダ、コーヒー。玉子はスクランブルドエッグではなくゆで玉子だった。
食事を終えて店を出て、もう一度看板を見た。大きな写真のスクランブルドエッグの中央に、ものすごく細い白いテープが貼ってあり、ワープロ書きの黒い文字が印刷されていた。顔を近づけないと判読できない小さな文字だ。
「玉子は茹で玉子になります」
オムライスで有名な店だ。しかもオープンしたばかりである。写真にはスクランブルドエッグ。しかし、顔を近づけると「玉子はゆで玉子になります」の文字である。すごくダメな感じだ。
開店早々のこのダメっぷりに、詐欺ではないかと怒りを覚えてもよかったし、呆れてもよかったが、わたくしは別の感情にとらわれた。
「ここにもまた『なります』がある」
もう十数年経つと思うが、世の中のあちこちで「○○になります」のフレーズを見聞きするようになった。飲食店でコーヒーを頼めば「こちらコーヒーになります」だ。たぶん全国的な現象だと思う。
この店が板橋区成増に出店したとしよう。〈成増店〉だ。最寄り駅は東武東上線の成増駅か、あるいは地下鉄有楽町線の成増駅にちがいないと誰もが思う。しかしどういうわけか、いちばん近い駅はひとつ南の東武東上線下赤塚駅、もしくは有楽町線の赤塚駅なのだった。〈成増店〉に行こうと成増駅で降りてあたりをキョロキョロ見回すが、どこにも〈成増店〉がない。駅に戻ってみると、傍らに小さな看板がある。
「成増店の最寄り駅は下赤塚になります」
腹立たしい。腹立たしいが、ここまで来て引き下がるのもくやしい。下赤塚に行く。ようやく店に辿り着く。入口に看板がある。スクランブルドエッグの写真だ。店に入りモーニングを注文する。トレイが運ばれてくる。トースト、サラダ、コーヒー、そして和菓子。東京銘菓だか福岡銘菓だか知らないが、有名な和菓子である。そんな馬鹿なと驚きつつもおいしくいただき、店の外に出てあらためて看板を見る。
「玉子はひよ子になります」
2010年7月27日
「昔の人」は実在の人物か 奈良の遺跡で発掘
【奈良=ゆう記者】 奈良文化財徹底研究所は21日、奈良県明日香村で発掘調査中の遺跡から「ムカシノヒト」という人物が実在した証拠と考えられる土器を発見したと発表した。
調査チームは2008年6月から明日香村の胡乱(うろん)遺跡で発掘調査を行ってきた。先月末に大量の土器を発見、そのうちの一つに「牟加志乃人」と墨書きされたものがあり、他の土器にはこの人物が遺したとされる数々の文句が刻まれている。
文字は万葉仮名で、現代表記に直せば「昔の人」だが、研究チーム主任の永森茂氏によると、これは特定の個人名である可能性が高いという。「同じ遺跡から大量の文句が出てきたのが証拠。『昔の人はうまいことを言ったものだ』という言い方があるが、おそらくムカシノヒトという名の人物が存在し、その人が当意即妙の言葉を数多く生んだのではないか」と永森主任は推測する。
発掘された言葉の中には「三人寄れば文殊の知恵」「秋茄子は嫁に食わすな」「インパクトの瞬間ヘッドは回転する」など、夥しい数のうまいことが書かれている。調査チームは他にも土器が出土するとみて調査を続行している。
小泉謙一・東京大学教授(免疫学)の話 「胡乱遺跡からは小野妹子が座頭市に宛てたとされる手紙の断片も発見されており、遺跡そのものが捏造の産物である可能性がある。今後の調査を見守りたい」
2010年7月22日
ルピー
インドの通貨ルピーを表す記号はこれまで「Rs」でした。これを「$」「€」「¥」みたいな独自の記号に変えようとデザインを公募、きのう採用が決定したのがこちらの記号。写真の男性はデザインを手がけたインド工科大学のウダヤ・クマール研究員。採用が決まったデザインを誇らしげに掲げています。
アルファベットの「R」の左の縦棒を削り、その代わりに右上に横棒を二本加えたのだそうです。しかしこの記号、ひらがなの「き」にそっくりではありませんか。いちばん上の部分に出っ張りを加えれば完全に「き」です。
この記号を世界に流通させるには、まずユニコードへの登録が必要で、それが済めばパソコンのフォントに組み込まれて、ディスプレイに表示したり印刷したりできるようになるわけですが、日本に限って、当面は「き」でいいんじゃないかと思いたくなります。10万ルピーは「き100,000」。どうでしょう?
2010年7月16日
MVP
南アフリカ大会のMVP(Most Valuable Pulpo)はパウル君に決定。タコはスペイン語でプルポ。
2010年7月12日
23+1名
ヨーロッパ・チャンピオンのスペインがドイツを下してサッカーW杯決勝に初挑戦。7月11日の決勝まで当サイトはスペインを応援するぞ。歴史的な快挙を成し遂げつつあるメンバーは下記の通り(大文字は名字です)。
●GK- カシーリャス
- Iker CASILLAS FERNÁNDEZ
- バルデス
- Víctor VALDÉS ARRIBAS
- レイナ
- José Manuel REINA
- アルビオル
- Raúl ALBIOL TORTAJADA
- ピケー
- Gerard PIQUÉ BERNABÉU
- マルチェナ
- Carlos MARCHENA LÓPEZ
- プジョル
- Carles PUYOL SAFORCADA
- カプデビラ
- Joan CAPDEVILA MÉNDEZ
- セルヒオ・ラモス
- Sergio RAMOS GARCÍA
- アルベロア
- Álvaro ARBELOA COCA
- イニエスタ
- Andrés INIESTA LUJÁN
- シャビ
- Xavier HERNÁNDEZ CREUS
- セスク
- Francesc FÁBREGAS SOLER
- シャビ・アロンソ
- Xabier ALONSO OLANO
- セルヒオ・ブスケッツ
- Sergio BUSQUETS BURGOS
- ハビ・マルティネス
- Javier MARTÍNEZ AGUINAGA
- シルバ
- David JIMÉNEZ SILVA
- ビリャ(ビジャ)
- David VILLA SÁNCHEZ
- フェルナンド・トーレス
- Fernando José TORRES SANZ
- マタ
- Juan Manuel MATA GARCÍA
- ペドロ
- Pedro RODRÍGUEZ LEDESMA
- フェルナンド・ジョレンテ
- Fernando LLORENTE TORRES
- ヘスス・ナバス
- Jesús NAVAS GONZÁLEZ
- デル・ボスケ
- Vicente DEL BOSQUE GONZÁLEZ
2010年7月8日
ユア党
参院選が近づいて気になるのは国外のマスコミが新党の名称をどう伝えているかだ。
「みんなの党」は英語でどう呼ぶのだろう。Everyone's Party だろうか。もしかしたら公式サイトに英語表記があるかも知れないと思いアクセスしてみたら、英語表記はなかったものの、ドメイン名が your-party.jp だ。「みなさんの党」だと言いたいらしい。
スペイン語圏ではどう伝えているのか。キューバの外務省のサイトでは El Partido de Todos と紹介されており、これはまさしく「みんな(=全員)の党」である。一方同じスペイン語圏のパナマでは Tu Partido で、英語と同様「あなたの(=みなさんの)党」だ。驚いたのはメキシコの経済紙エル・フィナンシエロの記事で、El Partido Your とある。一瞬目を疑った。英語の形容詞 Your を固有名詞と勘違いしたらしい。これでは「ユア党」だ。ものすごくうさんくさい党名になってしまった。
「たちあがれ日本」の英語表記が The Sunrise Party of Japan なのにも驚く。「日の出党」だ。「たちあがれ」と「日の出」ではイメージが全然ちがう。「旅館日の出」とか「日の出荘」とか、安宿や安アパートをどうしても連想してしまう。昭和の香り、オヤジ臭紛々たる党名だ。
ユア党と日の出党。腰が砕けます。これぞ拍子抜けまつり。
2010年7月1日
上島竜兵からのメッセージ
あのー日本がデンマークに勝ちましたけど、なんで勝てたかっていうと、誰も期待してなかったからです、ハッキリ言っちゃいますけど。でしょ? 絶対負けると思ってたでしょ? よくて同点でしょ? だから伸び伸びプレーできたんですよ選手は。だから今度のパラグアイ戦、期待しちゃダメです。期待したら負けます。派手に応援とかしたらプレッシャーでつぶれます。応援したくなる気持ちはわかります。わかる。だけど、ここはぐっとこらえてスルーだから。いい? にわかファンになって応援とかしちゃダメだから。今度の火曜日! 29日! 応援するなよ! 絶対応援するなよ! 絶対だぞ! 絶対だからな!
2010年6月25日
拍子抜けまつり
いよいよ夏も本番。今年も「拍子抜けまつり」の季節がやってきました。
「意を決して抗争相手の事務所に乗り込んだら用心棒が子ども店長」
拍子抜けです。
「刺青がキティちゃん」
張り合いがありません。
「我が町に初めて芸能人が来ると聞いて楽しみにしていたら、やって来たのが春一番」
期待は失望の母というフレーズが脳裡を横切ります。
さあ、ふるって落胆しましょう!
2010年6月19日
きょうのヘッドライン
・近畿、東海、中四国で反対のドアが開く
・谷垣総裁、7年ぶりの地球へ
・戻ってきたマラドーナ=豪州砂漠に落下
・日中首脳、2度目離婚
・改革派、警官隊と1次リーグ突破へ
・公安委員長が山菜盗 防犯カメラ設置を批判
・抹茶味のヘッドホン カネボウ化粧品
・AKB大島、インド洋で日本の魅力訴え
2010年6月13日
アメリカさんよ
空を見上げりゃ 爆撃機
ミサイル降る日にゃ 傘になり
お前もいつかは 同盟軍の
傘になれよと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない
海を見つめりゃ 原油流出
魚のいのちは 尊いが
油まみれで 虫の息
油田を掘れと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない
山を見上げりゃ 山にある
死の灰降る日は 核シェルター
お前もいつかは 世の中に
核を増やせと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない
作曲 是俣堂章
唄 森進二
2010年5月30日
連載小説 「氷の微笑」 第三回
あれからどのくらい時間が経ったのだろう。武藤の声は聞こえなくなった。聞こえないのは声だけではない。物音ひとつしない。無音の世界。いや、ちょっとちがう。音というものが最初から存在しない世界、そんな感じだ。うまく説明できないけれど。
初めにことばありき──「ヨハネの福音書」冒頭のフレーズを思い出した。世界のはじまりにはことばが、ロゴスがあった。すべてはことばからスタートした。でも、俺が今いるここは奇妙なんだ。ことばなんていうものがない、光もなければ影もない、そんな場所。ああ、イライラする。ここがどこかを言い当てようとすればするほど、ことばが核心から逸れてゆく。
珍しいキノコがどうのこうのと言っていたな、武藤のやつ。「珍しいキノコ舞踊団」のことだろうか。八十年代に大活躍した舞踊団。でも確か「生えている」と言っていた。俺はキノコを探すことにした。
(Book 1 完結。続編 Book 2 近刊予定)
2010年5月28日
コーテーエキ
もし自分が畜産農家だったら目の前が真っ暗になるのは間違いなく、本当に恐ろしい疫病ですが、ラジオやテレビでコーテーエキということばを耳にするたび、真っ先に脳裡に浮かぶのは佐藤製薬のユンケル黄帝液で、あの金色のパッケージに続いてタモリ、そしてイチローの姿がちらつき、意識から遠ざけようといくらもがいても為す術がなく、コマーシャルに洗脳されてしまった事実を痛感して愕然とし、口蹄疫も怖いけれどコマーシャルもそれに劣らず怖いものだと肌身で感じる昨今です。
2010年5月25日
連載小説 「氷の炎」 第二回
硬い板みたいなものに「正」の字がぼんやりと浮び上がった。死んで五日目。あと二日で一週間か。早いものだ。しかし何かが変だ。昨日から一日経ったわけだが、眠ったっけ、俺? 眠ってなんかいないぞ。目が覚めたわけでもない。なのに一日が過ぎたことはまちがいない。証明しろと言われても困るが、一夜明けたのは確実だ。一夜? 夜になったっけ? 太陽も月も見えないのに? それどころか、俺の周りには何にもない。何にもない。せめて真っ暗闇だったら、ああ、どこかに閉じ込められてるんだなとか、宇宙空間に放り出されたのかもとか、想像力を働かせられるのに。真っ白だったら、精神科の病棟とか、『マトリックス』でネオがモーフィアスと出会う仮想現実空間とか。でも、これだけ何にもないとお手上げだ。ちくしょう、どうなってるんだ。
「珍しいキノコが生えてる」
武藤だ。あれ? 気のせいかな? 声が小さい。
「おい、だいじょうぶか? 聞こえるか? どこか具合でも悪くなったのか?」
え? 別に? 別にって言ったのか? 沢尻エリカかお前は。
2010年5月22日
連載小説 「氷の炎」 第一回
死んで四日になる。硬い板みたいなものがあってよかった。指で触れるとその部分がぼんやり滲む。正の字を書けばいい。「止」が逆さになっている。あした棒を一本足せば「正」だ。指で触れるといっても、俺に指は見えない。板みたいなものも。ただ感触があるだけだ。
「死後の世界があるなんて嘘だったな」
武藤が呟く。
「天国とか地獄とかさ。楽しみにしてたのに。煉獄さえないとは」
拍子抜けしたのは俺も同じだ。
子どもの頃から死ぬのが怖かった。大人になって考えが変わった。怖いのは死そのものではなく、死ぬという観念だ。生きている限りこの観念は頭から拭い去れない。死んでしまえば解放される。以来、死後の世界を楽しみに暮らしてきた。そして俺は死んだ。武藤と一緒に。まさかこいつが道連れになるとは。腐れ縁とはよく言ったものだ。
「死んだだろ。ついさっきだぞ、葬式」
「でも死んだ気がしない。現にこうやって喋ってるし」
「喋ってるって、だいたいお前、どこにいるんだ」
「どこって、ここだよ」
「ここって、どこ」
「ここはここだよ。お前こそどこなんだよ」
「ここ」
こう答えるほかなかった。俺は「ここ」にいる。ほかにどんな言い方があるっていうんだ。
「なにそれ」
「だって、見えないし。お互いがさ」
俺もさっきから妙だと思っていた。何も見えない。何も聞こえない。自分の姿も声も。なのに武藤と喋っている。武藤は確かに「ここ」にいる。だってそうじゃないか。「ここ」にいなかったら、一体どこにいるんだ。
2010年5月21日
広域善行団川口組、ふたたび
「ヘイ!」
2010年5月1日
普天間基地移設
アメリカは沖縄の海兵隊をすべてグアムに移転させる計画を進めているはずなのに、一向に報道されないのは♪なんでだろ~、なんでだろ~、な・な・な・なんでだろ~♪(by テツandトモ)
2010年4月23日
もったいなくない
USBメモリーを挿すだけでウインドウズが高速化できる、イーブースター(eBoostr)というソフトがあるそうで、公式サイトにアクセスしてみた。
「余ってるメインメモリをキャッシュ領域として活用!」
なるほど。パソコンに4GBとかの大容量メモリを積んでいる人は結構いる。でも今のウィンドウズは32bitだから、どんなに積んでも3GBしか認識できない仕組になっている。そこでこの eBoostr を使えば、余ったメモリを有効に使えるらしいのだが、説明文を読んで「むむ?」と首を傾げた。
「パソコンに搭載しすぎて余っているメインメモリ、勿体無くないと思いませんか?」
なんか変だ。「もったいないと思いませんか?」でいいのに、「もったいなくないと思いませんか?」だ。もったいないに「ない」をつけると否定の否定でプラスになってしまう。
おそらく「もったいないんじゃない?」というフレーズが頭にあったのだろう。相手の同意を期待して「○○じゃない?」という言い方だ。若者風の言葉遣いをするなら「○○じゃね?」だ。「もったいなくね?」。これだけで充分なのに、「と思いませんか?」と繋げてしまった。「もったいないんじゃない?と思いませんか?」。くどい。ルー大柴の顔のようにくどい。斉木しげるの芝居のようにくどい。
このソフトを使えばウインドウズがサクサク動くようになるかもしれないが、オフィシャルサイトのトップページでいちばん目立つところに書く文章としては、ちょっとみっともなくないと思いませんか?
2010年4月22日
好物
「めぐみちゃんの好きな食べものはなあに?」「キリンさんが好きです。でもゾウさんのほうがもっと好きです!」
2010年4月17日
お大事にして下さい
買ったばかりの音楽CDをパソコンに取り込んだ。曲のタイトルはアルファベットが多く、それがすべて全角で、アルファベットは半角じゃないとどうも気持ちが落ちつかないたちなので半角に直した。全角のコロン(:)もあり、これも半角のコロン(:)に変えようとしたら、変更ができない。何度試してもダメである。どうしてだろう、ファイル名に半角コロンは使えないのかなとネットで検索したらマイクロソフトの解説ページに辿り着いた。
「ファイル名の文字変換を有効にする方法」
ざっと斜め読みしてわかったのは、ウインドウズではファイル名に半角コロンは使えない、でも、ある操作を行えば使えるようになる、ということだ。しかし驚いたのはその説明の仕方だ。
まず「概要」が示される。
「ここでは Windows および UNIX オペレーティング システムに対するファイル名の文字変換を有効にする方法について説明します。」
次が「詳細」で、こう書かれている。
「警告 : 深刻な問題として、オペレーティング システムの再インストールする必要がありますが生じるレジストリ エディターを誤って使用する場合。」
いきなり何を言い出すんだ。文章が脱臼している。続きを読む。
「マイクロソフトではあることができます解決を保証レジストリ エディターを誤って使用起因する問題。 レジストリ エディターは、自己の責任においてご使用してください。」
いったい何事だろう、この口ぶりは。しどろもどろだ。まるで高熱に冒され床に伏せっている病人みたいだ。あなた大丈夫ですかと、つい声をかけたくなる。言いたいことがわかるようでわからない。隔靴掻痒の感である。うっかりレジストリエディターをいじって問題が発生した場合、問題解決をマイクロソフトは保証してくれるのかどうか。いきなり「警告」を発して人を驚かせておきながら、肝腎なことがわからない。
続く説明にも驚かされる。
「UNIX ファイル名は、たとえば、コロンを使用できます (:) が Windows ファイル名をコロン (:) を使用できません。」
「を」が二回続けて出てきた。
「UNIX ユーザー ファイル UNIX ネットワーク ファイル システム (NFS) 共有に対する Windows サービスは、[Windows の不正な文字を作成しようとしましたとすると、試行が失敗し UNIX クライアント コンピューターの入出力エラーが返さ。」
途中で息が切れてしまっているよ。
「この問題を回避する、するのにには有効でない文字を置換するのにファイル名の文字のマッピングを使用します。」
うわごとだ。マイクロソフトさんはまちがいなく重病である。
ページを下にスクロールしてようやく謎が解けた。
「重要: このサポート技術情報 (以下「KB」) は、翻訳者による翻訳の代わりに、マイクロソフト機械翻訳システムによって翻訳されたものです。」
機械翻訳だったのだ。オリジナル原稿は英文である(原文へのリンクがある)。そしていちばん下にはアンケート欄があり、「この情報でお客様の問題は解決しましたか ?」「この情報は役に立ちましたか ?」とある。回答は「はい」「いいえ」「わからない」の三種、そして具体的な意見を書く欄がある。
建設的な意見を言いたくてウズウズする。しかし、アンケート欄に入力したわたしの文章が何かの間違いで勝手に英語に機械翻訳されやしないかと心配になった。なぜか英語に翻訳され、インド人のオペレーターが読み、中国人の技術者に回され、ベトナム人が処理する──こんな状況を想像すると、回答はなるべくシンプルな方がよさそうだ。そこで思いついたメッセージはこうだ。
「お大事にして下さい」
どうか、くれぐれもお大事にしてほしい。
2010年4月16日
平家物語
「その家は平屋であった。」
(藤子・F・不二雄の遺稿/NHK教育「こだわり人物伝 藤子・F・不二雄 ふしぎ大百科 第3回▽パパの四次元ポケット」4月14日より)
2010年4月15日
テンネンダイ
六十年代、七十年代、八十年代、九十年代。ここまではよかった。問題は2000年から2009年までをどう呼ぶかで、提唱されたのが〈ゼロ年代〉だ。
ところがもうひとつ難問が現われた。2010年以降の十年間をどう呼ぶのか。ふつうに考えれば〈十年代〉だ。でも一九一〇年代ととられかねないし、昭和十年代と思われる可能性もあってまぎらわしい。そこでサブカルチャー系の人が〈テン年代〉と名づけた。テンは英語の ten ですね。だけどこの語呂はどうだろう。
「天然鯛」
どうしても天然物の鯛を思い浮かべてしまう。あるいは芸能人だ。天然ボケを売りにする芸能人が胸を張り、高らかに宣言する。
「天然だい!」
テレビ番組や雑誌のキャッチコピーにきっと使われる。「テン年代は天然だい!」。日テレは感嘆符を多用するから「テン年代は天然だい!!!」だ。うるさくてかなわない。
2010年4月3日
TOICA
携帯電話を持たないので〈おサイフケータイ〉に縁はないが、一枚だけ電子マネーを持っている。Suicaだ。正しくは〈ICカード乗車券〉と呼ぶらしい。電車や地下鉄、タクシーで使え、コンビニやキヨスクで買い物もできる。
切符を買わずに改札をスイスイ通れるカード、それがスイカだ。名称の由来を調べたら "Super Urban Intelligent Card" の略称だとあるが、絶対こじつけだ。スイスイに決まってる。
JR各社の電子マネーは Suica のほかにJR西日本が ICOCA(イコカ)、JR九州は SUGOCA(スゴカ)、JR北海道は Kitaca(キタカ)で、どれも名称がわかりやすい。ICOCA は関西弁の「行こか?」だし、SUGOCA は博多弁の「凄か」にちがいなく、Kitaca は「北」だ。日本のどの地方のカードなのかが容易にイメージできる。これらに較べてピンとこないのがJR東海のIC乗車券だ。
「TOICA」
地元なので名古屋駅に行くことが多く、構内で TOICA のポスターをよく目にする。見るたび、頭のなかに、ある文字列が浮かぶ。
「遠いか?」
なんだってこんな名前にしたのか。他社のIC乗車券は利便さや地方の場所を簡単にイメージさせる名称なのに、TOICA は人を一瞬考え込ませる。
「遠いか?」
"Tokai IC Card" の略なのだそうだ。東海(Tokai)とトイカ(TOICA)はアルファベットの並びがよく似ている。なのに、目で見ても耳で聞いても〈東海〉がパッと頭に浮かばない。
「遠いか?」
この〝上から目線〟な感じの問いが怖い。
2010年4月2日
早春の風
大きい風には銀の鈴
けふ
かびろき窓にむかひます
大きい風には銀の鈴
煙は空に身をすさび
日影たのしく身を
物干竿は空に往き
登る坂道なごめども
岡に梢のとげとげし
今日
(中原中也「早春の風」『中原中也全詩歌集(下)』講談社文芸文庫、p.22-23)
2010年4月1日
王女メデイア
四月にコロンビアのボゴタを旅行する予定の方へ。宮城聰氏主宰のク・ナウカ・カンパニーの代表作、ギリシャ悲劇『王女メデイア』が第12回イベロアメリカ演劇祭に参加します。十年来世界各地で大評判をとった芝居。舞台設定は明治時代の小料理屋。客の役人が座興として店の女に『王女メデイア』を演じさせます。
スペイン語圏での上演は今回が初めて。セリフはもちろん日本語、現地の人はチンプンカンプン──というわけで、不肖粗忽天皇、スペイン語字幕制作を担当しました。4月1日から5日まで、ボゴタのコルスブシディオ劇場(Teatro Colsubsidio)です。
「は? コロンビア? 遠くて行けるわけないじゃん」
ご安心下さい。6月に静岡で上演されます。〈SHIZUOKA春の芸術祭〉、日時は6月19日(土)19時30分、26日(土)19時30分の二回。場所は静岡県舞台芸術公園の野外劇場「
2010年3月22日
タッチパネル
映画館に行き、事前にネット予約しておいたチケットを発行してもらうために自動発券機に向かった。予約番号を画面で入力して発券される仕組だ。最初の数字を入力しようと人差し指で押す。反応がない。故障かと思い、もう一度トライ。無反応。少し強く押す。やっぱりダメ。もっと強く押す。やっと入力できた。次の数字も最初はダメで、二度三度と強めに押したらできた。そうやって五桁の予約番号を入力し、無事発券されたチケットを握りしめて劇場に向かいながら、数年前ロサンゼルス空港に行ったときのことを思いだしたのだった。
例のテロ事件以来、アメリカは入国管理が厳しい。入国審査では指紋をとられる。カウンターの登録パネルに左の人差し指を当てた。審査官が首を横に振り、もう一度やれという。再度挑戦。また首を振る。認識されないらしい。どうすればいいのか、目で訊ねると、「右の指で上から強く押せ」という。やってみる。また首を振る。そして審査官は言ったのだ。
「お前の指はクリーンすぎる。おでこの脂をつけて押せ」
言われたとおりにやってみると、あっさり認識された。そのとき初めて、わたしの指は脂分が極端に少なく、ぱさぱさであることを知らされたのだった。
世の中はタッチパネル全盛だ。電車に乗ると女の子が iPhone の画面を指で撫でて、すいすいスクロールさせている。iPad の発売も間近だ。昔ながらのパソコンはタッチパネルに取って代わられようとしている。そんな時代に出現する悲しい人たちがいる。
「タッチパネルを前に、なす術もない人」
センサーが感知できないほど指がぱさぱさな人だ。彼らはタッチパネルに存在を否定される。目の前にいるのに「いない」とされるのだ。こんな悲しいことがあるだろうか。悲しみを喜びに変えるには、指先を脂ギトギトにしなしくてはならない。その方法としてわたしが知っているのはたった一つだけだ。
「オリーブオイルをぐいぐい飲む」
ある俳優が、コントで全身をテカテカにする必要があり、毎日オリーブオイルをがぶがぶ飲んだのだ。「おでこ、テカテカになりますよ」と、その俳優は誇り高く役作りの秘密を語っていた。
わたしは iPhone に触ったことがない。買う予定もないが、なにしろタッチパネルの時代である。自分が、いま、ここに、紛れもなく存在することを証拠立てるために、オリーブオイルを飲まなくてはならない。しかもがぶがぶだ。オリーブオイルをがぶがぶ。本当にいやだ。
2010年3月17日
舞台通信
アドレスを変更しました。新しいURLはこちらです。
http://www.theatrum-mundi.net/butai/
お気に入りに登録して下さっている方は、お手数ですが登録し直して下さい。旧ページからは自動的にジャンプします。
2010年3月12日
あれから五年
Firefox 1.0 がリリースされたのが2004年。今ではヨーロッパでのシェアが28%、日本は25%、当サイトも10%の人が Firefox です。
2005年8月19日ニューヨークタイムズに Firefox 1.0 の全面広告が掲載されました。わたくしの名前も載っています。30ドル寄付して載せてもらいました。名前を見つけた人にはステキなプレゼントが当たる(かも)!
2010年3月8日
チリ大地震
ご友人やお知り合いに被害はありませんか。心からお見舞い申し上げます。
2010年3月1日
展覧会のお知らせ
親の顔が見たい──誰もが一度はそう願ったことがあるでしょう。本展覧会は日本を含む世界各地の秘蔵コレクションから「親の顔」を集めた、芸術史上初の試みです。
- 展覧会名
- 誰もが見たい親の顔
- 会期
- 2010年2月20日(土)~2月28日(日)
- 会場
- 国立親美術館
- 開館時間
- 午前10時~午後6時
- 観覧料
- 親 4,500円 子 無料
2010年2月20日
苦節七年
ウェブでルビをどう書けばよいのか。どのブラウザでも行間がズレないよう表示させるにはどうしたらよいのか。試行錯誤を続けて七年、ようやく
確認したブラウザは次の通りです
Firefox 3.6
Safari 4.0.4
Opera 10.10
Chrome 4.0
「
2010年2月14日
居酒屋風景
「いやあダメだったね、サントリーとキリン」
「面子があるんだろうな、どっちも」
「さてと。何にする?」
「とりあえずビール」
「あ、この店サントリーとキリン両方あるぞ」
「両方頼むか」
「半分ずつチャンポンしてか」
「グラスの中で合併ってか」
「そのグラスを持ってるオレたちはグラス・ホールディングス」
「がはは」
「がはははは」
……こんなオヤジが全国に少なくとも五百人はいると確信するものであります。
2010年2月13日
あぶり出し
子供の頃よく遊びましたよ。年賀状にみかんの汁で文字を書いたり。その点ウェブは簡単。文字の色を背景色と同じにすればOK。ご覧のトップページでも七前からあぶり出しを使っています。
2010年2月12日
草葉の陰のシェイクスピア
どいつもこいつも俺の研究ばかりしやがって。他にいねえのかよ他に!
2010年2月1日
抑鬱亭日乘リニューアル
6年ぶりにデザインを変更しました。気分転換です。新しいアドレスは下記の通りです。
http://www.theatrum-mundi.net/nichijo/
ブックマークやお気に入りに登録していらっしゃる方は、お手数ですが新しいアドレスで登録して下さいませ。
2010年1月30日
平面
3D映画『アバター』を観た。いろいろ感じたことはあるが、立体駐車場が登場して「平面駐車場」が生まれたように、『アバター』によって「平面映画」が誕生したのではないだろうか。
映画のプログラムをパラパラめくったら「立体映画研究家」という肩書きの人が解説を書いている。こんな職業があるとは知らなかったよ。誰が最初に「平面映画研究家」を名乗るか、興味津々である。
2010年1月18日
絵師
ちょっと外に出れば必ず目に入るのに誰がそれをデザインしたのかわからないモノが結構ある。誰が作るのだろう、誰がデザインするのだろうと、いつも不思議に思う。
「看板の人物イラスト」
たとえば「飛び出し注意」だ。たいてい男の子や女の子のイラストが描かれる。あの絵は誰が描くのだろう。専門のイラストレーターがいるのだろうか。
気になる理由は、あのなんとも形容しがたい味わいだ。いびつというか、突拍子もないというか、とにかく独特としか言いようがない味がある。「何を参考にすればこういう絵になるのか」がさっぱりわからない場合が多く、興味は尽きない。
人気商品などでは絶対にお目にかかれない美意識に貫かれた絵。あれらを描く絵師はなんという職業なのだろう。「イラストレーター」ではないと思う。たぶん。どういう手順を踏めば絵師になれるのだろう。正月早々謎が解けない。そして寒い。
2010年1月10日
謹賀新年
ロイ・シャイダー主演の『2010年』を劇場で観たとき、〈2010年〉は遠い遠い未来でした。生きてその年を迎えることがどうしても想像できなかった。その年が本当にやってくるなんて。木星が第二の太陽になることもなく、有人探査船ディスカバリー号が木星に達することもなく。あの頃の未来は輝いていたなあ。こんなはずではなかったんですよ、 〈21世紀〉は。だから『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』が製作されたわけです。
去年は人に喜ばれる仕事ができるしあわせを噛みしめた一年でした。今年も粗忽を極めるべく精進して参ります。
2010年1月1日